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歯周病治療後にメインテナンスが必要なのはなぜですか?

どのような治療を行なった後でも、口の中の健康を維持するためには、メインテナンスは大切です。しかし歯周病にかかった方が、歯周病の治療後にメインテナンスを継続していくことは、必ず必要なことです。なぜならば、歯周病は再発しやすい病気であるからです。

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なぜ再発しやすいのでしょうか?

治療後も細菌は存在しています

歯周病の原因は、歯と歯茎の境目に付着した歯周病菌の集合体(細菌性プラーク)です。歯周病の治療では、その細菌の塊である、歯垢、歯石を取り除くことが一つの目的になりますが、一連の歯周病の治療を終え、たとえ歯周病の病状が安定したとしても、無菌状態になるわけではありません。しかも歯周病に関連する細菌はもともと健康な口の中にも存在する「常在細菌叢」を構成していると考えられています。

しかし油断をしてセルフケアを怠れば、再び細菌は増殖し、歯周病は容易に再発を起こしてしまいます。また口の中には磨きにくい場所が多く、人によっては被せ物や詰め物が存在し、どんなに丁寧に歯ブラシを行なっていても、磨き残してしまうことがあります。

定期的に歯科医院で検診を受け、メインテナンスを行うことで、細菌の増殖を未然に防ぐことは、あなたの歯を守ることにつながります。

『歯周病の治療の終了』=『元どおりの状態』でありません

歯周病が進行すると、歯を支えている骨が徐々に失われていきます。ある程度進行した歯周病の場合、多くの骨が失われ、歯がグラグラすることもあります。

そのような状態から歯を守るために歯周病の治療を開始するのですが、どのように治療を施しても、失われた歯周組織(歯を支える組織・骨や歯茎)を完全な状態で元どおりにすることは困難です。

失われた骨を再生する再生療法という外科処置もありますが、このような処置が効果的なのは、ごく限られた条件の歯周病の状態です。また歯周病は糖尿病のように慢性疾患であり、基本的には『完治』はなく、『治癒または病状の安定』が一つのゴールとされております。

したがって、歯周病となり歯を支える組織を多く失った歯は、たとえ病状が安定し、治療を終えたとしても、健常な歯と比べると、リスクのある状態におかれています。

歯周病の一般的な改善の仕方

重症化した歯周病ほど、歯を支えている骨が元どおりになることは困難で、歯周病の進行を食い止めることが、一般的な安定の仕方となる。この状態では、健康な歯と比べると、強度的にも細菌の感染に対してもリスクが高い。

メインテナンスをしないとどうなるの?

患者さんの口の中の状況にもよりますが、過去に進行した歯周病にかかった方の場合、治療後のメインテナンスを怠ると歯を失う確率が高くなります。

それを裏付けるように、海外の論文では、歯周病が重度に進行した61名の患者さんにおいて、歯周病の治療後14年間にわたり3ヶ月から6ヶ月ごとのメインテナンスを行なった結果、10年間での歯の喪失数(歯を失った本数)は1330本中で、わずか14本であったとの報告があります。

また、たとえ歯周病の治療を終えてもその後のメインテナンスを怠れば、1年あたりの歯の喪失率(歯を失う割合)は1年あたりで2倍になるとの報告もあります。

いずれにしても、歯周病の治療後に継続して歯科医院にてメインテナンスを行うことは、歯を失うことを防ぐことにつながります。

歯周病の一般的な改善の仕方

歯周病の治療後にメインテナンスを行わないと、1年あたりの歯の失う率は倍になってしまう。

どのくらいの間隔でメインテナンスするべきなの?

これに関しても個々の患者さんの口の中の状況によって変わってきます。もともとどれだけ進行した歯周病であったかのか?治療後の歯の状況や、患者さん自身のブラッシングのレベルによっても様々です。

海外の研究ですと、重症な歯周病に罹患したリスクの高い患者さんですと、およそ3か月ごとのメンテナンスで良好な状態を維持するとの報告があります 3)

執筆者からのコメント

以上のように、歯周病にかかった方が、歯周病の治療を終え、口の中の健康を取り戻したとしても、次に歯科医院へ行くのが、痛くなったり、腫れたりと、何か起きてからでは元の木阿弥です。

重要なのはその後のメインテナンスで、いかに健康な状態を維持し、自分の歯を守っていくかなのです。安全に車を利用するために車検があるように、安心して食事ができるように歯科医院でメインテナンスを継続していくことは、あなたにとってとても重要なのです。

参考文献

公開日:2018年5月26日

この記事の執筆者

稲垣 伸彦

稲垣 伸彦先生

歯科医師
日本歯周病学会 専門医
日本臨床歯周病学会 認定医

みどりが丘歯科クリニック

東京都目黒区緑が丘1-10-14小原ビル1F

TEL: 03-3725-8214

この記事の監修者

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