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保険と自費(保険外)の詰め物は、なにが違うのか?

虫歯などで歯を削った場合、何らかの材料で削った部分を補う必要があります。歯科では保険診療と自費診療(保険外)で使える材料が異なり、一般的に自費の詰め物の方が見た目や耐久性といった面で優れていることが多いですが、治療費は保険の十倍以上になることが珍しくありません。

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詰め物の種類

詰め物には、お口の外でセラミックや金などの詰め物を製作し、それを歯を削った部分に詰める「インレー」(咬む面を含む場合はアンレーと呼びます)という方法と、お口の中で直接「レジン」と呼ばれる歯科用プラスチックやセメント、金属(金、アマルガム)などを詰めていく方法があります。

保険診療に場合には、金属(12%金銀パラジウム合金)のインレーと、歯を削った部分に直接レジン(歯科用プラスチック)を詰めていく「レジン充填」という2つの方法が主に行われています。前歯などでかみ合わせの力がかからない部分にはレジン、奥歯で強い力がかかる部分には金属のインレーといった使われ方が一般的です。

  • 保険診療のインレー

  • レジン充填

自費診療の場合には、歯科用セラミック、金合金、ハイブリッドレジン(強化プラスチック)などを使用することが可能となります。

  • 自費診療のセラミックインレー

  • 自費診療のゴールドインレー

  • 保険診療のレジン

  • 自費診療のレジン

各材料の大まかな違い

耐久性 審美性 アレルギー 欠ける
自費診療 セラミック
金合金 ×
ハイブリッドレジン
保険診療 12%金銀パラジウム合金 × ×
レジン × ×

詰め物の耐久性

詰め物をした後は、その結果が長期的にもたなければ、再治療でまた削る、となり、歯はだんだんなくなっていきます。当たり前の話ですが、詰め物は、歯自体を復活させているわけではありません。将来、自分の歯を残すには、再治療を防ぐ以外に手段はないのです。

ここで言う耐久性の差は、各材料の、

  • 歯に詰め物をつける際に使用するセメントの性能の差
  • 歯科医院や歯科技工所で、製作に使用される材料、方法の差
  • 歯科医院や歯科技工所で、製作にかけることができる時間の差、それによって生まれる精度の差

が主に関与します。

材料、方法の差は、歯科医師や歯科技工士の努力とは別の話であり、努力で越えられる壁ではありません。かけられる時間が限られると、精度を十分に高めることができない状況も出てきます。

治療の精度を高めるには、自費診療の方が一般的には有利であると考えられます。また、虫歯の原因菌の付きやすさは、セラミックの表面が最も付きにくく、次いで、天然の歯、メタル、レジンの順に付きやすくなっていきます。

保険の詰め物の寿命

保険の詰め物の寿命を調べた研究は多くありませんが、1991年1月1日から2005年3月31日の間に札幌市内の歯科医院を受診した総計95人、レジン245症例、金属インレー103症例を対象とした研究では、レジンの10年生存率は約60.4%、金属インレーでは約67.5%という結果が出ています 1)。

また、2000年に長崎大学歯学部付属病院で行われたレジン577症例、金属インレー128症例を対象とした研究では、レジンの10年生存率は約83%、金属インレーでは約84.7%という結果が出ています 2)。

いずれの研究でも金属インレーの方がレジンよりも若干寿命が長いという結果が出てはいますが、金属インレーはレジンよりも多くの歯を削る必要があるため、レジンで対応が可能な場合はできるだけレジンで治療を行った方が良いという考え方が最近では主流になりつつあります 3)。

次に、10年後に再治療が必要になった原因を見てみると、金属インレーとレジンを二次う蝕によるものが多く,特にコンポジットレジン(78.2%),金属インレー(72.4%)とあります。くり返し二次う蝕になると、歯をその都度削りとる必要があるため、歯を失っていく可能性が高い、といえるでしょう 4)。

自費(保険外)の詰め物の寿命

セラミックインレーの寿命

セラミックインレーの寿命を調べた、1983年から2015年の間に発表された論文をまとめたデータからみると、セラミックインレーの寿命は、5811症例の5年生存率は92~95%、2154症例の10年生存率は91%という結果が出ています。

そして、再治療が必要となった理由を次に見ていくと、セラミックインレーの破折が30%、歯内療法が必要になり、セラミックインレーを除去する必要が出たことが43%、二次う蝕が15%、セラミックインレーの脱落が11%となっています。

ゴールドインレーの寿命

ゴールドインレーの寿命を調べた、2000年に発表された論文では、303症例の調査しており、10年生存率は96.1%、20年生存率は87.0%、30年生存率は73.5%と発表されています。

そして、再治療が必要となった理由を次に見ていくと、二次う蝕が40%、ゴールドインレーの脱落が31%となっています。

詰め物(レジン、インレー)の10年生存率

コンポジットレジン 約60~83%
メタルインレー 約67~85%
セラミックインレー 約91%
ゴールドインレー 約96%

審美性

見た目の問題であり、本質的に歯の寿命に関わる部分ではありません。
しかし、この問題は、気にする患者さんにとっては「以前と同じように笑えるかどうか、人と対面できるかどうか」に関わる部分になります。よって審美性は、人とコミュニケーションを取る頻度が高ければ高いほど、重要な点となるでしょう。

アレルギー

保険診療で認められている金属は、12%金銀パラジウム合金というものですが、他に、銅、インジウム、イリジウム、亜鉛、などを、比較的アレルギーの原因(アレルゲン)となりやすい金属が含まれています。

レジン、ハイブリッドレジンに関しては、アレルギーの報告はまれであり、セラミックに関しては、以前よりアレルギーの心配が殆ど無いと考えられており、歯科以外では整形外科などで人工関節として体内に埋め込む治療として使われています。

治療費

保険診療の詰め物の場合、一部負担金が3割であれば、おおよそ2000円~3000円となります。自由診療の場合は、歯科医院ごとに自由に設定しているため、各歯科医院のホームページなどをみて、把握する以外に方法がありません。

そのため、以下に記載する価格は、おおよその参考程度に見てください。費用の高低が倍近くあることもあります。ハイブリッドインレーであれば、3万円前後、セラミックインレーであれば、5~7万円、ゴールドインレーであれば、5万~7万くらいが、多いのではないでしょうか。

自由診療の参考価格

  • ハイブリッドインレー:3万円前後
  • セラミックインレー:5~7万円
  • ゴールドインレー:5万~7万くらい

以下も、一般論としてみてください。
費用の高低は、詰め物の材料の良し悪しだけで決まるものではありません。

  • 治療にかける時間を多く取り丁寧に行う(時間的コスト)
  • 詰め物を、歯に着ける際に使うセメントの性能が優れている(詰め物以外の材料コスト)
  • 歯を削るときに、拡大鏡などを使い、肉眼よりも精度を高めている(道具のコスト)
  • DRの教育、勉強に投資をして、提供する医療の質を高めよるべく努力している(教育のコスト)
  • クリニックのある場所の土地代(都会の方が田舎より物価が高い)

ほかにも、たくさんの違いがあり、ここには書ききれません。同じセラミックインレーを3万円で施術しているところも、7万円で施術しているところもありますが、その費用の差は、一般的には上記のような点から生まれることが多いのではないかと思います。

繰り返しますが、あくまで一般論です。
患者さんにより良い質の治療を、より安価で提供しようと努力した結果、7万円のセラミックインレーと同等の質を、3万円で提供している歯科医院もあるかもしれません。

結局、詰め物を選ぶときのポイントはなんなのでしょうか?

今回は、詰め物の材料の話に終始しましたが、保険診療と自由診療では、詰め物自体の精度、付けるときに使うセメントなど、治療工程の殆どが違います。それに伴って、金額も様々です。

歯科医師は、患者さんに「私の歯には、どの治療が最も適していますか?」と聞かれれば、歯科医学的に「最も適しているもの」を答えることはできます。しかし、そこには患者さんの経済的状況は加味されていません。歯科医学の研究に、患者さんの経済性は馴染まないからです。

ですから、歯科医院に行って、詰め物の種類を選ぶ際には、まず治療の選択肢の説明を受け、メリット・デメリットを聞くと良いでしょう。

以上を踏まえ、どの治療が良いか、は、何を重視するのか、によって変わるため、担当医とよく相談し決定するのが良いでしょう。

参考文献

公開日:2018年4月3日

この記事の執筆者

佐藤 優樹先生

歯科医師

エムズ歯科クリニック磯子

神奈川県横浜市磯子区中原3-5-22

TEL: 045-769-2866

この記事の監修者

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